漢方医学の考え方

漢方医学の考え方

漢方医学では、西洋医学のように病名を決めることが診断ではありません。
漢方独自の診断は、患者さんの体全体から発信される様々な情報(自覚症状、体質、生活習慣、年齢、舌の状態、性格、体臭、体格、等々)を出来る限りたくさん集めて、整理し「証」というものを決定します。
そのため漢方診断には患者さんによくお話を伺いたくさんの質問をしたり、顔色や舌を見せてもらったりするため、30分から1時間位時間がかかるのが普通です。

証を決めるものさし

1. 気・血・水

イメージ図
この3つの要素のバランスがとれた状態が健康で自然治癒力を維持した体の状態であるといえます。
【気】生命活動を維持する基本となるエネルギー。血や水を動かしている。
【血】全身に栄養素やエネルギーを配る血液。
【水】全身をめぐる血液以外の体液全般。汗やリンパ液、ホルモンなどの分泌等。

2. 表・裏

病気が起きている場所をあらわします。
【表】体表面に近い場所。最も外側の部分。
【裏】体の最も内側にある内臓、消化管など。
【半表半裏】表と裏の中間。気管やのどなどの部分。

※ 一般的に風邪などの急性病は表から裏にむかって進みます。
例えば風邪のひき始めは寒気等の「表」の症状から始まり、次に咳や痰などの気管、「半表半裏」に進み、さらにこじらすと下痢や嘔吐、腹痛などの「裏」に症状がでます。

3. 虚・実

体力・抵抗力の充実度をあらわします。
【虚】体力・抵抗力に欠け、気・血が不足している状態。
【実】体力・抵抗力はあるが、気・血が旺盛すぎて体に不必要なものが充満している状態。

4. 寒・熱

症状に冷えの傾向があるか、熱の傾向があるかをあらわします。
【寒】「寒い」「冷える」と感じる状態。
【熱】「熱い」「のぼせる」と感じる状態。

5. 陰・陽

病気の進行の程度とそれによって気・血・水や五臓(肝、心、脾、肺、腎)がどのように乱されているかをあらわします。
【陰】病気が進行し、気血水のはたらきが衰え、新陳代謝が悪く病気と戦う体力が不足してきた状態。
【陽】病気と闘うために新陳代謝が異常に亢進した状態。